週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

プリクリンパー

散弾リロードにおいてはプレスでフォールドクリンプ(=スタークリンプ)をかけるときには普通手順が二つあります.それはプリクリンプとファイナルクリンプです.プリクリンプは完全に開いた状態の口を,その後の処理時に綺麗にクリンプできるように折り癖を付ける段階です.クリンプスタートともいいます.かけるとこういう状態になります.
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MEC ではクリンパーはこのような形状です.
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右の赤枠内がプリクリンプをかけるクリンプスターターで,特に MEC のこのタイプはスピンデックスと呼ばれます.左はファイナルクリンプをかける部分で,カムで動くのでカムクリンプと呼ばれています.クリンプスタータは折り癖を付ける部分ですから,実包の口折りの種類によって違います.世の中には 6-point(6枚羽根)と 8-point(8枚羽根が)あって,リロードに使う薬莢が元々何枚に折られていたかに合わせて,同じ枚数で折ります.例えば6枚羽根だった薬莢を今度は8枚で折ると綺麗には出来ません.ですから,スピンデックスは6枚用と8枚用で簡単に交換できるように,引っ張ればすぐに抜ける構造になっています.
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薬莢に当たる部分(内側)はこのような構造です.
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これは6枚用ですね.羽根の枚数が合っていたとしても,角度が違うとやっぱり綺麗にはなりません.箱を綺麗に包んでいる包装紙を一回ほどいて,また付けなおすときだって,包むときの折り方が同じで無いといけないのはもちろんですが,折る位置も同じにしないときれいじゃないですよね?それと同じです.スピンデックスはこれがよく出来ていて,薬莢を無作為に置いても,その角度に合うように,クリンパ自体が回転してその角度にはまるのです.
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ちなみに Lee LOAD-ALL もプリクリンプを行うステーションは6枚と8枚で分かれています.ところがこちらのプリクリンパーは回転しないので,シェルを置くときに,折って谷になる部分を手前に置くように決められています. 日本では普通見かけませんが,ハンドロード用に新品の薬莢が売られている場合があります.
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写真のは primed hull と呼ばれていて,雷管が付いた状態の空薬莢です.現在の日本の装弾メーカーはこの状態でヨーロッパから輸入して,工場装弾を製造しています.ですから,国産装弾は薬莢や雷管が Cheddite 辺りなので,サイズが微妙にアメリカと違います.Cheddite の方が少し大きいので,W209 などのアメリカ系雷管を入れると脱落する個体があったりします.が,その話はいつだったか書いたはずなのでおいておきましょう. さて脇道にそれちゃいましたが,上のような新品薬莢だとスピンデックスのようなプラスチックのスターターにはかなりの負荷がかかりますし,きちんと綺麗なプリクリンプができないと思います.そこで使われるのがこちらの製品.
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スーパークラウンです.これは真鍮で出来ているので,スピンデックスよりも強力にプリクリンプがかかります.これをスピンデックスと入れ替える形でプレスに装着します.スピンデックスと同様に回転するように取り付けることは可能ですが,切れ味が良いですから,合わないままでも薬莢に咬み込み,プリクリンプできてしまうので,使うときには角度が合っているかを確認して使った方がいいと思います.