週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

散弾銃 ⊃ 散弾

今回の事件では,当初「散弾銃」が使われたという報道がありました.当然負傷者の救護と犯人の確保が優先されることで,事件の詳細は後で報道されればいいことです.しかしながら不確かな情報でも「散弾銃」というワードがでると合法所持者がやらかしたという印象を持ちかねない(そもそも違法所持なら拳銃のほうが簡単)のと,銃に詳しくない人だったら,散弾銃で撃たれたら周りにも散らばって大惨劇になると思うみたいです.実際職場でも「どうなの?」と聞かれて説明をするハメに.自作すればどんな形式もあり得るし,過去には多種多様なものがあったはずですから,そういうのはおいといて,私が説明できるのは現在合法に所持できる猟銃のことだよと前置きして,こんな話をしました.

 

まず「散弾銃」というのは,銃腔に溝(ライフル)を切ってない猟銃で,確かに仁丹のように小さい鉛粒(散弾)を多数撃ち出すことに向いてはいますが,大きい粒や,極端な話,デカい一粒玉というのもあります.さすがに一粒玉は「散弾」じゃなくて「スラグ弾」と呼ぶ方が普通ですけど,発射するのに使う銃はどれも「散弾銃」です.と,こんな感じ.あってるかな.

 

birdshot, buckshot, slug の比較(WHO_TEE_WHO チャンネルより)

 

この動画を見ても分かるように,至近距離では散弾がほとんど開かないうちに着弾するので,カボチャ相手だとスラグとの差が余りあるようには見えないですよね.ただ猟の場合は普通こんな距離ではないし,例えばある程度の距離の猪に散弾を放っても,擦り傷を負わせるくらいでかえって危険なことになる(猪は人間にやられたことを理解しており,無関係な人間にも復讐に走る)ので,猪鹿猟で散弾銃を使用する場合,小粒散弾(birdshot)ではなく,大粒散弾(buckshot)か一粒玉(slug)を使います.

  • birdshot: 小粒散弾.主に鳥猟.クレー射撃にも使用.
  • buckshot: パチンコ玉よりやや小さい.主に猪鹿猟.近年はスラグにシフト?
  • slug: 銃身内径に近い大きさの一粒玉.主に猪鹿猟.的紙撃ちにも使用.

というわけで,散弾銃は小さい粒をたくさん発射するだけじゃなくて,使う実包次第でいろんな用途があるものだよ,というお話でした.