さて前回のケースゲージに続きまして,今回は右の金色ミニマムチャンバーゲージです.左のケースゲージと形はそっくりですが出来ることが若干違います.
まずミニマムチャンバーゲージにサイジング前の薬莢を入れてみます.
このように収まるようなら太さも長さも基準内ですからフルレングスサイジングの必要はなく,ネックサイズだけでOKな薬莢ということが分かります.ただ銃の薬室がミニマムサイズになっていない限りはこのように収まることは普通ありません.軽く押してみても入らないようならフルレングスサイジングすることになります.サイジング後ならこのゲージに入るはずですが,入らない場合は正常にサイジングできていないことになるので,ダイの設定を確認します.または薬莢に変形などの異常があるかも知れません.
ちなみにリロードした実包を確認するのにも使えます(というか,そっちが主用途のはず).投げ込んで(写真はダミー弾なので雷管はついてません)みます.下の状態ならボディ側は問題ありません.
上下をひっくり返して逆側を見ますと...
弾頭の先が見えます.このようにゲージ内に収まっていればどんな銃でも薬室だけでなく,マガジンにも問題なく収納できるはずです.ただ実際のマガジンには長手方向にも余裕がありますから,ここから出っ張っていても入るものは多いでしょう.狩猟に普段使いしたいレシピなら,マガジンに入れてみて確認しましょう,それで入るなら問題ないはずです.なおこのゲージは上記のように弾の全長も SAAMI スペックに準拠しているか確認できるようになっていますが,他社製品だと弾頭側のゲージがついていない(長さがわからない)ものもあります.近年は VLD (very low drag) という長い弾頭を使う場合があって,そういうものだと SAAMI 基準を超える全長になりそうに思われるので,そもそもチェックしないという考えなのかも知れません.
さてこのゲージが出来ることをまとめますと
- サイジング前に入るならば,ネックサイズだけで済ませられることが分かる(レア)
- サイジング後に入るならば,正しくサイジングできたことが確認できる
- 組んだ実包がマガジンに問題なく入れられるかが分かる(実マガジンでの確認不要)
となりましょうか.
ケースゲージとミニマムチャンバーゲージの両方があると用途が重なる面もありますが,実際に case prep 時のフロー例は以下のようになります.
(1)サイジング前にミニマムゲージにいれてみる
収まる:ネックサイズして(3)へ.
収まらない:フルサイズして(2)へ.
(2)フルサイズしたときは再度確認
収まる:OK.(3)へ.
収まらない:ダイの設定確認.または薬莢が異常.
(3)ケースゲージでネック側をみる
収まる:OK
収まらない:トリミングする
私は以前ケースゲージだけを持っていました.そのときは太さが確認できなかったので,射撃時に正常に装填できないことがたまにありました.その後ミニマムチャンバーゲージを追加したので,上記のような判断が行えるようになり,薬莢の状況確認もより正確にできるようになったと思います.ただし銃の薬室はミニマムチャンバーゲージとケースゲージの間の大きさになっていると考えられるので,これはあくまでも SAAMI 標準に合わせようとするときの話だと思ってください.
従って,どちらか片方だけしか用意できないときは,ミニマムゲージのほうを優先したほうがいいかも知れませんね.ミニマムゲージでもヘッドスペースに問題ないことが分かるからです.対してケースゲージは長さしか確認できません.しかし内径が太めなので,薬莢を挿抜しやすい(全数検査にも向いている)という利点があります.
次はネックテンションゲージのお話です.↓