今回の検索ワードはこちら
メックリロード不発
気張って LOAD-ALL II じゃなくて高い金だして MEC 買ったのにリロードして不発が出たんだけど（怒）どういうこと？という話でしょうか．
不発というのはどの状態でしょうかね？場合分けして原因を考えてみましょう．
(1)そもそもプライマが発火しない
もちろんプライマはヘッド面とツライチになっていますよね？さすがに出た状態で使う人はいないと思いますが．次に撃針が叩いた跡を観察します．中央部に通常程度のへこみがあるのに発火しないのであれば雷管が不良，へこみが浅いなら銃側の問題でしょう．雷管自体のシーティングは撃針跡が正常ならライフルと違って深さは関係ありません．ライフルの場合はアンビルを薬莢のプライマポケットの底面で保持する仕組みになっていますから，シート深さによってキャップとアンビルの間隔が変化して，雷管感度に影響を与えます．しかし，散弾の場合はアンビルをバッテリーキャップ（雷管の最外部の部品）で保持しているためシート深さを変えても雷管感度は変わらず，ヘッド面とツライチになるようにシートする以外に調整代がないのです．
(2)プライマは発火したけど弾が正常に出ない
いつものようにドカーンといわず，パスンといった場合は，推進薬が燃焼しなかったパターンですね．散弾の火薬は大きさ 1mm くらいの黒い紙吹雪みたいな形状をしているものが多いと思います．銃の中，マズルの前辺りにそのようなモノが飛び散っていたらこのパターンです．これもいくつか原因が考えられます．
(2-1)推進薬自体の不良：水が入ったりして湿気てしまうと正常に燃焼しません．
(2-2)テンションが低すぎる：通常の部材（散弾，ワッズ）を正しく使っているならテンションはクリンプで決まりますが，これが緩くて推進薬が燃焼しないうちに弾が前に進んでしまいますと，推進薬が燃焼しきらないうちに燃焼する環境を失い燃え残ります．
(2-3)ワッズが合ってない：ベースワッドとワッド（コラム）のガスシールの間の空間が推進薬量に比べて大きかったりすると，正常に燃焼できない場合があります．基本的には火薬に遊びが出ないようにきっちりワッズを沈めるのが正しい作り方です．ただ私個人の経験からは Longshot の場合は遊びが多少あっても燃焼が安定していると思います．
なお(2)のケースではワッズやスラグが銃身内に残っている可能性があるので，確認しないで次弾を撃つことは絶対にしてはいけません．
さてこれらの不具合のうち，プレスに原因があるのは(2-2)です．不具合と言うより設定や使い方の問題です．まずワッズの挿入圧が正しくなるよう，ラムチューブの高さを調整します．ワッズのクッション（レッグ）が多少たわむくらいが正常です．買ってきてそのままだと全く圧力が掛からない設定になっている可能性が高いです．調整の仕方の実例はこちらにあります．あとはクリンプが正しく掛かっているかですが，振ってみて散弾がシャカシャカいうとか，スラグがカタカタしてるというのは圧が掛かってないことになります．ワッズの高さやカップが合ってない場合は適切なものに入れ替えることになりますが，原因がクリンプにあるのであれば，最終ステージのクリンパの高さを調整して，ただしいクリンプがかかるようにします．正常な見本は市販品です．これよりクリンプが出っ張ったり（バルジといいます），凹んだり（ディッシュ）しないようにします．あまり低くするとボディがひずむので注意しなければなりません．ここは結構微妙な調整が要ります．またクリンプ深さでも弾速が変わりますが，これは要するに推進薬の燃焼特性に影響を与えている証拠になります．散弾なんて口が閉じて中身が出なければ良いんだという考え方もあると思いますが，やはり正しいクリンプは適正なシート圧を確保する上で軽視すべきではないと思います．
余談ですが，MEC の設定は難しそうだというのであれば，かえって感覚で圧力が感じられる Load-All II の方が正しいリロードが出来ると思います．Load-All の欠点はファイナルクリンプが強く掛けられず，薬莢の種類によってはクリンプが経時的に開くことがあるようです．この場合はドリル式のロールクリンパでスタークリンプをかけたあとの縁を加熱するといいそうです．
