猟友O君から散弾銃リロード(装填の方の話)の練習をしたいので,ダミーカートを作って欲しいとの依頼がありました.スナップキャップだと軽いので,実際に鉛粒を入れて散弾実包の重さに近づけたものがいいとのことです.
そういうものなら,散弾のリローディング(こっちは弾造りの話)の工程を一部変更すれば組み上げられます.具体的には以下の手順で,このうち太字の項目が普通の散弾造りとは異なる部分です.
- サイジング(同時に廃雷管が一度外される)
- 廃雷管を装着(1で外したものを再度つける)
- 火薬の代わりの詰め物をする(高さを合わせるのに必要)
- ワッズ圧入
- 散弾を定量装填
- プリクリンプ(6枚羽根のクリンプスタータ)
- ファイナルクリンプ
ではやってみましょう.使う薬莢は成田装弾にします.なぜならO君は使ってないので,これだったらダミーと実包の区別が付きやすいからです.本当は透明な薬莢がいいのですけど,最近見かけないのですよね.昔は Clear Winner という透明薬莢のクレー装弾が安くてよかったのですけど,空薬莢をとっておけばよかったなぁ.
薬莢の左はクリンプスタータ(MEC用でスピンデックスという)で,成田装弾が6枚羽根なのでそれにあわせたものを用意します.普段は8枚羽根の WAA を使っているので,スタータが異なっていて入替が必要なのです.下の写真のように違いは内側の凹みの数で,左が8枚,右が6枚です.
今回作るのはダミーですから火薬は入れませんが,何も入れないとその分ワッズの位置が下がってしまうので,詰め物をします.どのくらいの高さが適切かは作ってみないと分かりません.結果としてはキムワイプの小を2枚入れたら丁度良くなりました.
使用するワッズは WAA12SL(通称ピンクワッズ)です.24g〜28g程度の装弾に適したワッズで,Claybuster の互換品(CB1100-12) でもいいのですが,ここで使っているのはWinchester 純正の WAA12SL です.
圧入した感じはこうです.
作る数が少ないので,チャージバーで自動化せずに,一つづつ手ばかりします.24g です.
3号散弾は私自身があまり使わないことと,粒が大きいために,クリンプで多少失敗してズレても外にこぼれ出てくることがないのでこれを使うことにしました.散弾用のファンネルを使ってザラザラっと流し込みます.
高さはこのくらいになりました.正常の範囲です.
この高さをあわせることが散弾のリローディングで最も大事なポイントです.ライフルのリローディングとは違う難しさがあるわけですが,逆に言えばここさえなんとかなれば,あとは楽だったりするのでした.要するにレシピが全て.さてこれをクリンプすると下のようになります.
大丈夫ですね.さっきの高さが低いと,ここがへこんでしまい(dishという)開口部ができて散弾が漏れ出てしまうし,多すぎれば富士山のように出っ張って(bulge)しまいます.というわけで同じやり方で4個出来ました.
これで問題ないはずですが,O君にあげるものですから渡す前にゲージで確認しておきましょう.
あれれ?入らないじゃないか.これはまずいか?おかしいなぁ,ちゃんとサイジングしてるんだけど.もしかしたら圧入やクリンプのせいで膨れてしまったか??中身が入ったままサイジングする方法を考えてみましょう.