週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

【リローディング用品を揃える】10・シーティング(弾頭装着)

パウダーチャージが済んだら,シーティングです.これには前に説明したプレスとシーティングダイ(ST)を使います. シーティングダイはシート量を調整するためのネジがついています.

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上の方の黒いのがそうです.これをまずは抜く方向に回しておきます.そしてダイをプレスにとりつける際には,シェルホルダに弾頭をつけていない薬莢をセットし,ラムを上げておきます.そしてシーティングダイをマウスに接して止まるまで一度さげ,そこから一回転ほど戻した高さでロックリングを回し固定しておきます. このときダイとシェルホルダは接していないはずです.接するまで下げると薬莢がつぶされて壊れますので注意します. シェルホルダに薬莢とその上に弾頭をセットして,ラム(プレスの動く円柱)を上げます.シートのネジはあがってますので,このままだとシートされませんから,どんどんこのネジをねじ込んでいきます.するとネジが固くなる(シートが始まる)高さがありますので,一度ラムを下げ,シートネジを更にいくらかねじ込み,再度ラムを上げます.ラムを下げシート量を確認します.具体的には COAL(薬莢底(head)から弾頭先までの長さ)をノギスで計ります. 例えば 30-06 Springfield の規格(SAAMI標準)は以下のようになっています.

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この全長である 3.340 MAXIMUM というのが COAL (cartridge over-all length) です.3.340" はどんな弾頭でもこの長さが最大という意味で,実際の推奨COALは使用する弾頭によって異なります.例えば 30-06 に 155gr. HPBT Palma MatchKing を付ける場合は,COAL は 3.250" が推奨長となります. このように設定したい長さになるまで,ダイのシート設定ネジを少しづつ締め込みながら現物を確認するということを繰り返して調整するわけです.ちなみに一度深くシートしてしまうと,Bullet Puller で引き抜き最初から調整し直すことになるので,慌てずゆっくり少しづつ締め込んでいった方がよいでしょう. ところでダイにはこのネジがマイクロメータになっているものもあります.

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これはダイ本体のプレスへの設定深さを変えることがないのであれば,弾頭によって異なる COAL を設定するのに便利かも知れません.しかし,プレスへのセットはクリンプするなら変えるわけですし,そうなるとマイクロメータの読みも変わってきてしまいます.よって,環境が決まってきてから考えてもよいと思います.多分要らないケースの方が多いとは思いますが. さて普通はここまでですが,クリンプもしたい場合には二つの方法があります.一つはクリンプダイを別に使って行う方法です.

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これはシーティングダイの設定をクリンプなしから変更しないで使いたい場合に便利です. しかし,クリンプダイを使わなくても,シーティングダイを深くプレスにセットすればクリンプもできます.具体的には, (1)前述の手順でクリンプしないで COAL をあわせたカートリッジを一つ完成させておく. (2)そのカートリッジをシェルホルダにセットしてラムを上げる (3)シート量調整ネジを何回転か上げたダイを薬莢のマウスに当たるまで下げる. (4)ラムを少し下げ,シーティングダイを更に 1/8 回転ほど下げる (5)ラムを上げクリンプの状態を確認する (6)もしもっとクリンプをかけたければダイを更に下げる (7)適切なクリンプになったらダイのロックリングを締めて固定する. (8)次の薬莢と弾頭をシェルホルダにセットしてラムを上げる (9)シート量調整ネジを止まるまで下げていく(弾頭に当たって止まる) シーティングダイをこの状態にしておくと,シートとクリンプが一緒に出来るようになります. ところでカートリッジの長さは前述の方法では COAL で決めていました.これが標準的な方法なのですが,他の方法として弾頭をバレルの入り口のライフリングが始まるところ(もしくはそのギリギリ)まで押し込むことで精度を上げようという人たちもいます.実際にはライフリングに咬み込むまで弾頭を長めにシートしてしまうと,ボルトがおりなかったり,無理矢理押し込んだとしても,今度は脱包できなくなるので注意が必要です.特に狩猟の場合は装填しても発砲しないことが多く,そのとき脱包できなくなるのは大変危険ですからやってはいけません.しかし,射撃専門の人はライフルに咬み込むぎりぎりの所(ランドタッチといいます)に設定することもあるそうです.そういう場合は COAL ではなく,ogive(弾頭のなで肩になっている部分)から head (薬莢の底の部分)までの長さを気にすることになります.その際に使用されるのは comparator と呼ばれる道具です.これにもいろんなものがありますが,シンプルな一例としてはこんなのがあります.

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これとノギスを併用して長さを測定します.しかし,COAL でもランドタッチは設定できますし,最初はそもそもそんなことはしない方が良いので,ここではとりあげません. あとはとりあげないといいつつ,こんなマニアックな物もあります.

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concentricity gauge といって,薬莢と弾頭の偏心を調べる道具です.これもベンチレストでもしない限りは関係ない道具だと思います. 結局的紙の黒いところに当てれば良いレベルで必要な道具と,黒丸の中心の×に1ホールで当てたいレベルでのそれは大分違います.私は狩猟用途ですし,射撃もやらないわけではありませんが,黒丸に当てればいいレベルなので,なるべくシンプルに労少なく楽しくリロードしたいと思っています.


【リローディング用品を揃えるシリーズ目次】

  1. プレスを考える
  2. ダイを考える
  3. その他のプレス関連材
  4. ブラスクリーニング関連
  5. プライマポケット掃除とサイジング
  6. プライミング
  7. サイズ確認
  8. トリミング
  9. パウダーチャージ(推進薬装填)
  10. シーティング(弾頭装着)
  11. 買ってみよう(海外通販)
  12. ちょい足し便利グッズ(1)
  13. ちょい足し便利グッズ(2)
  14. 安全グッズ