週末猟師

休日に射撃や狩猟を楽しむ

【リローディング用品を揃える】9・パウダーチャージ(推進薬装填)

順番が入れ違いになりましたが,プライミング(雷管装着)のあとはパウダーチャージです.それにはいくつかの方法があります.

まず火薬は質量(ここでは重さと同じ意味)で入れます.すなわち入れる単位は ○○grain(グレイン)です. 1grain は 64.8mg ですが,1LB(ポンド)=7000grain というのは覚えておいて損はない換算です(火薬は1LB単位で買うことが多いので計算が簡単.例えば1発35gr入れるなら,一瓶で200発作れる).主に弾頭と火薬の重さに用いられる単位ですね. 使用する弾頭と薬種,薬量,弾速などの表は load data と呼ばれ,リローディング本に掲載されていたり,火薬や弾頭のメーカーのホームページから閲覧することが出来ます.火薬は多すぎると危険というのは誰もが分かることですが,少なすぎても異常燃焼が起きて危険があるそうです.実際の所はなぜ少なくて危ないかは分かっていないらしいのですが,個人的見解(私は火薬の専門家ではありません)ではパウダーが少ないと薬莢の下にたまって上が空間になるため,きっちり装填されていると順番に着火するところが,同時に大量に着火するためではないかと推測しています.ともあれ,薬量には最低量(minimum charge)と最大量(maximum load)があって,load data の一番左が最低量,右側が最大量になっていたりします.いずれにしても十分な経験を積んでから自分の load data をつくるのは構いませんが,種々の現象の意味が分からないうちは最低量と最大量の間で薬量を決めましょう.

さてパウダーチャージを実施するのに最低限必要なのは何かといえば,秤(powder scale)とファンネルでしょう.秤は天秤式と電子ばかりがあります.

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秤は 1/10 grain 単位はあったほうがいいので,普通のキッチンばかりでは換算したとしても分解能がまったく足りません.なので,自ずと専用品を買うことになるでしょう.天秤式は設定量に火薬を合わせこむ場合にはよいのですが,任意の量が何grainなのかを計るのには向いていません(時間と手間が掛かるという意味).昔はリローディング用品のセットにはいっていましたが,これは後述する電子式より安かったからだと思います.一方,電子式は近年急激に価格がさがって,精度の良い天秤よりも安いため,今買うなら電子式しかないと思います.値段は数十ドルから百ドル以上程度まであると思いますが,この程度では精度的にはあまり変わらないと思います.というのも,0.01gr 単位を正しく計るとなると,ダイヤモンドなどの取引にも使用できるようなものになって安くても十万円程度するのです.またこの位の秤になると,置く場所の水平や振動のないことも必要ですから,あってもリローディングベンチ程度では使いこなせませんし,そこまで合わせこむ意味もありません.結局は適当な値段の電子ばかりを使って,小さなスプーン(コーヒースプーンと耳かきくらいのサイズ)で計りとったものを薬莢に入れればOKです.その際にはファンネルは必要でしょう.

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いろんなキャリバーに適合するユニバーサルサイズのもありますが,個人的には自分の使うキャリバーにあわせたものを買った方が,載せたときがたつかないので使いやすいと思います. ちなみに量を合わせ込む専用の道具にトリックラーというのもあります.

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各社から出ていますが,この写真だと緑色の部分をクルクルまわすと,パイプにネジがきられていて火薬がすこしづつ落ちるようになっています.でも耳かきサイズのスプーンで間に合うので,要らないと言えば要らないですね. あとは体積で計る方法もあります.これは powder measure といいます(powder scale ではありません).

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パウダー容器の下部に容量調整可能なシリンダが内蔵されていて,それが回転することでパウダーを一定体積出すようになっています.しかし,これでも 0.5gr 以内程度の誤差はでます.それを許容できるのであれば,この方式はレバーの上下だけで一定量が出せるので,作業速度がとてもあがります.もちろんこれで出してから計ってトリックラーで合わせこむ几帳面な方もいらっしゃいますね. あとこんなシンプルな方法もあります.

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計量スプーンセットですね.これも単位は cc の体積で計るので,前述のパウダーメジャー程度の誤差はありますが,作業速度的に割りと早いです.パウダーメジャーの欠点は薬量設定や残薬片付けに時間がかかることですが,計量スプーンならその時間がないため,作る数が数十くらいならスプーンの方がかえっていいと思います.ただしスプーンの欠点は,欲しい薬量ぴったりにあうスプーンがなかなかないことです.基本的には近い薬量になるスプーンを使って済ませることになるでしょう.実際それで済む場合も多いのではないでしょうか.均一性は同じですし. 最後はこだわり派の方法です.

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スケールからの信号で,内蔵された電動のトリックラーが動作して,火薬が設定量だけでるというすぐれものです.欠点はかさばることと,設定量近くなるとトリックラーがゆっくり動くので,設定量に達するまでの時間が結構かかることです.でも勝手にその量が出てくるのは便利ですよね. 個人的には,電子ばかり(安くてコンパクトなもの),大小スプーン,計量スプーンセット(15本組み),ファンネルの組み合わせでスタートして,パウダーメジャーに行くか,自動式に行くかをあとで決めるのが経済的かつ後からでも最初に揃えたものが無駄にならない組み合わせではないかと思います.


【リローディング用品を揃えるシリーズ目次】

  1. プレスを考える
  2. ダイを考える
  3. その他のプレス関連材
  4. ブラスクリーニング関連
  5. プライマポケット掃除とサイジング
  6. プライミング
  7. サイズ確認
  8. トリミング
  9. パウダーチャージ(推進薬装填)
  10. シーティング(弾頭装着)
  11. 買ってみよう(海外通販)
  12. ちょい足し便利グッズ(1)
  13. ちょい足し便利グッズ(2)
  14. 安全グッズ